「最近、口が渇いている。」そう感じたら危険信号!唾液力の低下は、免疫力の低下、ドライマウスや自己免疫疾患「シェーグレン症候群」
の可能性も。「いつものどが渇いてペットボトルが手放せない」 「口の中がカラカラでしゃべりにくい」などといった症状はありませんか?
数か月、その様な状態が続いている人は、注意が必要です。
私たちの口の中では、1日0.5~1.8ℓの唾液が流れています。ところが年齢を重ねると唾液の量は低下してきます。ある程度はしかたのない事ですが、最近は、仕事や生活のストレスや日常的に薬を飲むことが、唾液量の減少に拍車をかけています。
「唾液力」の衰えは、様々な不快症状や病気の原因になっています。唾液は「耳下腺」「顎下腺]「舌下腺」という3つの大きな分泌腺と口腔粘膜のあちこちに分布する小さな分泌腺から絶えず出され口の中を潤しています。
唾液には食事や発声をスムーズにする他、
①虫歯、歯周病予防
②免疫力アップ
③消化を助けて胃を守る
④ガン予防
⑤ホルモン活性化
などの力があり体に大切な働きをしていることがわかっています。
唾液の中には、IgA(免疫グロブリンA)と言う外部から入ってくる細菌を抑える抗体が含まれています。動物は怪我をしてキズをなめるのも生き物としての知恵なのです。人間の体には、自分の構成体以外の物が入ってくると「異物」としてみなして攻撃するシステムがあります。意外なことに食べ物に対しても適用されていて、食べ物はすべて「異物」とみなされます。この「異物」を噛んで細かくすりつぶし、唾液というネバネバしたオブラートに包み込むことで、胃への刺激をやわらげているのです。よく噛まないで食べたり、一気飲みをするということは、食べ物や飲み物を「異物」のまま胃に流し込むという事です。胃の調子が悪くなり、病気の原因にもなりかねません。
唾液には、発がん性物質を抑える成分も含まれています。(ラクトペルオキシダーゼという酵素) 「若返り」 「男らしさ」 「女らしさ」を高めるホルモンも唾液に含まれています。EGF(上皮成長因子)、NGF(神経成長因子)です。これが血管を通って体中をめぐり命を保つために黙々と働いています。
「口の中が渇く」と感じている人の多くが一時的な唾液力の低下やドライマウスだと思われますが、唾液や涙が出なくなる「シェーグレン症候群」という自己免疫疾患の可能性もあります。ひどい場合は、歯科への受診をおすすめ致します。
唾液の量を増やす方法
☆よく噛む
食べ物をよく噛むと唾液腺が刺激され唾液の分泌がよくなります。よく噛むコツは意識して回数
を増やしたり、一度に多くの量を入れない。口いっぱいに入れると、口からあふれそうになるの
で まだ 噛んでいないのに飲み込んでしまいます。
☆唾液を出すのに有効な食品を食べる
酸味のある酢の物や梅干、レモン。ガムは味が無くなっても口に入れておくだけでも唾液が出ま
す。昆布は、アルギン酸という成分が唾液の分泌量を増やしてくれる作用があります。
☆舌の運動
舌を出したり回したり動かすと唾液が増えます。おりゃべりしたり笑うことも効果的です。
☆唾液腺を刺激
耳下腺、舌下腺、顎下腺は「三大唾液腺」と呼ばれ、マッサージすると唾液の分泌を促すことが
出来ます。耳下腺は耳たぶのやや前方を人差し指で優しく回す。舌下腺はあごの先の内側を舌
を押し上げるように両親指で押す。顎下腺はあごの内側の柔らかい部分を耳の下からあごの先
まで優しく指圧しながら動かす。